鎌倉市 額田記念病院顧問 中山杜人医師
私は耳鼻咽喉科で10年、内科で40年の合計50年間にわたり、めまい診療に携わってきました。
そんな中で、他院にて「耳の問題」として片づけられ、長期間めまいに苦しんでいる患者さんが、見方を変えるだけで劇的に改善するという経験を何度もしてまいりました。
そもそも、めまい=内耳という考え方は1861年にフランス人医師、プロスペル・メニエール氏が唱えたのが始まりです。
それがいまだ支持され続けております。そんな100年も前の説を、生活習慣が大きく異なる現代人に当てはめることには無理があります。
最近では、日常的にパソコンやスマートフォンを利用することで、若い世代にもめまいを訴える患者さんが増えています。それは首の筋肉に負担がかかり、ひいては脳への血行不良や交感神経の過剰な興奮を引き起こしているものと考えられます。
医学界においては、いまだ内耳中心の学説が支持され続けています。
その一方で2千年以上の歴史をもつ漢方医学においては、首や肩の凝りがめまいを引き起こすことは、当然のごとく知られて来ました。人体は気血水のバランスが重要と考え、それが崩れると様々な不調につながると言われています。
現代人のライフスタイルは、それらの調和を乱す要因(不内外因)に満ち溢れています。
それが、気(神経)、血(血液循環)、水(リンパ)のアンバランスを引き起こし、めまいを引き起こします。従来の標準医療によるめまい診療では、このうち「水」の部分にのみ着目してきたわけです。
そういう意味では、一見古そうに思われる漢方医学の方が、現代医学の先を行っていたとも言えます。
私は患者さんの症状改善に寄与すると思えば、漢方薬も処方してきましたし、場合によっては、鍼や指圧も試してみることをお勧めしてきました。
しかし耳のみに注目していてはそうはいきません。医療は常に患者さんの利益を最優先に考えていかなければなりません。効果が期待できるのであれば代替療法も積極的に試してみるべきです。
桜山整体院で行われている脊椎矯正を中心とした手技的アプローチは鍼灸や指圧にはない特徴を持った大変興味深い治療法として私も注目しています。
-プロフィール-
栃木県生まれ
1971年群馬大学医学部卒業
1975年同大学大学院(耳鼻咽喉科)卒業
1977年武蔵野赤十字病院耳鼻咽喉科副部長
1982年横須賀共済病院内科勤務(後年部長)
埼玉医科大学耳鼻咽喉科と群馬大学耳鼻咽喉科で非常勤講師を務めた。
「めまい」については、耳鼻咽喉科入局以来診療に携わり、1987年横須賀共済病院内科に「めまい外来」を立ち上げ、呼吸器内科診療と共にめまい診療にも従事し、2005年まで継続。以後、額田記念病院で呼吸器内科とめまいを主に担当。
YouTube『Dr.中山のめまいちゃんねる』にて情報を配信中
著書一覧
◎ なかなか治らないめまいが治る-―めまいは耳からとは限らない
◎ 脱・思い込みめまい診療 めまいは内耳とは限らない
◎ 画像と症例でみる内科医のための「危ないめまい・中枢性めまい」の見分け方
◎ プライマリーケアー医のためのめまい診療の進め方―豊富な症例とイラストをそろえ明日からの診療に役立つ